アイシングに関する豆知識

【 このページの監修者 】
このページは、厚生労働大臣免許の柔道整復師の宇治小倉あゆむ整骨院院長が、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、柔道整復理論などの知識を元に、当院の情報発信ポリシー(EBM:根拠に基づく医療)に則って作成しています。
意外と知らない正しいアイシングの方法
このページでは、柔道整復師が捻挫などをした時、どれ位の時間冷やしたらいいのか?どんな感じで冷やしたらいいのか?など正しいアイシングの方法をお伝えします。
ごく稀に「冷やしすぎたり」「冷やすのが足りなかったり」して、アイシングの効果が期待できない方法でアイシングをされていることがあります。
このページを読むと、医学的に正しい知識をベースにしたアイシングの方法を理解することができようになります。
正しいアイシングをすることにより、炎症や痛みを軽減することが期待できます。 炎症がおきてから、なるべく30分以内にアイシングを開始することが非常に有効だとされています。
| 用意するもの | (1)「氷を入れたビニール袋」や「冷凍したジェルパック」 |
|---|---|
| アイシングの方法 | 炎症や痛みのある部位にタオルなどで包んだ氷やジェルパックを押し当てます。炎症や痛みのある部位にしっかりと当てるようにします。 |
| アイシングする時間 | 15~20分間アイシングを続けます。 アイシングをしている部位が、次第に「痛く感じる→暖かく感じる→ピリピリとする→感覚がなくなる」という感じになります。この感覚がなくなった時点でアイシングを終了します。 ※1度のアイシングは20分以内に終えて下さい。長時間当てすぎると凍傷のリスクがあるため、注意して下さい。 |
| 間隔 | 1度のアイシングを終えたら、1~2時間の間隔をあけます。 皮膚の感覚が回復し痛みが戻ってきたら、再度アイシングを行います。 受傷後48~72時間以内がアイシングの効果が特に期待できる時期とされています。 |
| 冷却してはいけない場所 | ・生殖器 ・糖尿病などで血行が悪くなっている場所 ・首の前面(甲状腺) ・左胸(心臓部) |
| 注意点 | 用意した「氷」や「ジェルパック」を直接肌に当てると凍傷の危険があるため、「氷」や「ジェルパック」をタオルなどで包んだ上で、肌にあてるようにして下さい。 また、長時間の連続冷却は凍傷だけでなく神経障害(しびれや感覚の低下)を引き起こす危険性があります。アイシング中に皮膚が白くなったり、しびれを感じた場合はすぐにアイシングを中止して下さい。特に、氷を直接皮膚に当てたまま寝てしまうなどの行為は大変危険ですのでお控えください。 |
冷やすことの最大の目的は、炎症や腫れを抑えて症状の悪化を止めることにあります。
作用機序は下記をご参考下さい。
(1)冷やすことにより血管が収縮し、皮膚や組織内の血管が収縮。これにより、患部への血流が減少し、腫れや炎症が抑えられます。
(2)細胞の代謝活動を低下させ、組織の損傷が最小限に抑えられるとともに、痛みを和らげる効果もあります。
(3)冷やすことにより痛みを伝える神経繊維の活動を鈍らせ、これにより痛みの感覚が減少します。
上記作用機序からもわかるように、冷やす(アイシング)により、痛みや腫れ、炎症を抑制する効果がある反面、細胞の代謝活動が低下するため、痛めた細胞の治癒は遅れてしまうというデメリットもあります。
近年のスポーツ医学では、炎症反応そのものは身体の自然な治癒プロセスの一部であり、過度な冷却がかえって回復を遅らせる可能性があるという見解も示されています。2019年には従来のRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)に代わる「PEACE & LOVE」という新しいガイドラインが提唱され、過度な冷却を避け、痛みの範囲内で適切な負荷をかけることの重要性が注目されています。
アイシングは急性期の痛みや腫れを和らげるための有効な手段ですが、長時間・長期間にわたる過度な冷却は避け、あくまで一時的な対処として行うことが大切です。
冷やすべきか温めるべきかの判断基準や、PEACE & LOVEの詳しい解説については「身体に痛みがある時、冷やす?温める?」のページで詳しくご説明しています。
当コラムで紹介したアイシングの方法・時間・効果に関する情報は、以下の医学的根拠およびガイドラインに基づいています。当院が参照する情報源の詳細は「情報の根拠・参照元について」をご確認ください。
【1】急性外傷に対するアイシングの基本(RICE処置)
公益社団法人 日本整形外科学会 「症状・病気をしらべる:スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)」
受傷直後のアイシング(Icing)の重要性、冷却による血管収縮・腫脹抑制のメカニズム、および15~20分を目安とする冷却時間が示されています。
日本整形外科学会 公式サイトを確認する →
【2】冷却療法(クライオセラピー)の作用機序
Bleakley C, et al. "The use of ice in the treatment of acute soft-tissue injury: a systematic review of randomized controlled trials." The American Journal of Sports Medicine. 2004;32(1):251-261.
急性軟部組織損傷に対するアイシングの効果(血管収縮、代謝抑制、神経伝達の鈍化)を系統的にレビューした研究です。
PubMed で論文を確認する →
【3】急性軟部組織損傷の最新ガイドライン(PEACE & LOVE)
Dubois B, Esculier JF. "Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE." British Journal of Sports Medicine. 2020;54(2):72-73.
従来のRICE処置に代わる新しい外傷管理の枠組みとして、過度な冷却が回復を妨げる可能性を指摘し、適切な負荷と段階的な運動の重要性を示しています。
PubMed で論文を確認する →
【4】柔道整復師の学術的背景
「柔道整復学・理論編(改訂第6版)」:公益社団法人全国柔道整復学校協会 監修
柔道整復師の国家試験カリキュラムにおける「冷罨法(れいあんぽう)」の適応基準・実施方法・禁忌事項に基づいています。
※当院では、最新の臨床知見に基づき、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適なアドバイスを行っております。当院の情報発信における方針・免責事項については「当院の情報発信ポリシーと専門的根拠について」をご覧ください。
よく頂く質問
アイシングに氷がない場合、代わりに何を使えますか?
冷凍したジェルパックや保冷剤が代用できます。それもない場合は、冷凍庫にある食品(冷凍野菜の袋など)をタオルで包んで使うことも可能です。いずれの場合も直接肌に当てず、必ずタオル等で包んでから患部に当ててください。
冷感スプレーやコールドスプレーはアイシングの代わりになりますか?
冷感スプレーは瞬間的に冷却感を与えますが、持続的に患部の温度を下げる効果は限定的です。応急処置としては有用ですが、本格的なアイシングの代わりにはなりません。氷やジェルパックによる15~20分の持続的な冷却が効果的です。
アイシングは何日間続ければいいですか?
一般的には受傷後48~72時間以内がアイシングの効果が特に期待できる時期とされています。ただし、炎症の程度には個人差がありますので、腫れや熱感が残っている間は継続し、症状が落ち着いてきたら温める対応に切り替えるのが基本です。判断に迷う場合は専門家にご相談ください。冷やす・温めるの判断基準については「身体に痛みがある時、冷やす?温める?」で詳しく解説しています。
アイシング中にしびれを感じたらどうすればいいですか?
すぐにアイシングを中止してください。しびれや皮膚が白くなる症状は、冷却のしすぎによる神経障害や凍傷の初期サインである可能性があります。中止後も症状が続く場合は医療機関を受診してください。
子どもにアイシングをする場合の注意点はありますか?
子どもは大人に比べて皮膚が薄く、冷却の影響を受けやすいため注意が必要です。タオルを厚めに巻く、冷却時間を10~15分程度に短くする、必ず大人が付き添って皮膚の状態を確認するなど、大人以上に慎重に行ってください。
| 住所 | 〒611-0042京都府宇治市小倉町蓮池173-13 宇治小倉あゆむ整骨院 |
|---|---|
| 施術時間 | 平日:9:00~19:00 土・ 日:9:00~18:00(実費施術のみ) 休診日:火曜日、金曜日、祝日 |
| 駐車場 | 車・バイク・自転車 : 院前に駐輪スペース有 |
| 最寄駅 | 近鉄小倉駅:徒歩9分 |


