
【 このページの監修者 】
このページは京都府宇治市にある宇治小倉あゆむ整骨院院長(厚生労働大臣免許の柔道整復師)が、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、柔道整復理論などの知識を元に作成しています。
「朝の一歩目が怖い」あなたへ。足底筋膜炎が治らない人が無意識にやっている「間違い」と、プロが教える「やってはいけないこと・やるべきこと」
「朝、目が覚めて布団から出るのが怖い」 「ベッドから降りて、床に足をつけた瞬間のあの激痛……」 もしあなたが今、そんな思いをしているなら、このページの情報をぜひご一読ください。
【 目次 】
日中は少し動いていると少し痛みがマシになったような気がするから、「治ってきたのかな?」と期待してしまう。でも、また翌朝には激痛が襲ってくる。あるいは、椅子に長時間座って休憩した後の立ち上がりで、「ズキッ!」と電気が走るような痛みを感じる。 病院に行っても「安静にしてください」「湿布を貼って様子を見ましょう」と言われるばかり。でも、仕事もあるし、家事もある。安静になんてしていられないというのが、あなたの本音ではないでしょうか。
「いつまでこの痛みが続くんだろう?」 「もしかして、一生このままで治らない?一生痛いまま?」 そんな不安を抱えているあなたへ、最初にお伝えしたいことがあります。 足底筋膜炎は、決して「治らない症状」ではありません。 しかし、もしあなたが「良かれと思って」やっているケアが、実は治りを遅くしているとしたらどうでしょうか? 実は、足底筋膜炎が長引く方の多くが、無意識に「やってはいけないこと」を繰り返してしまっているのです。 この記事では、専門家としての視点から、少し厳しい「事実」も含めてお話しします。でも、それはあなたに一日でも早く、あの軽やかだった頃の足取りを取り戻してほしいからです。 専門用語は使いません。難しい理屈も抜きです。
【メカニズム解説】なぜ、あなたの足の裏は悲鳴を上げているのか?
まず、敵を知ることから始めましょう。なぜ、あなたの足の裏(特にかかと付近)はこれほどまでに痛むのでしょうか?
足の裏は「弓の弦(つる)」
あなたの足を横から見た図を想像してください。土踏まずがアーチ状になっていますよね。これは「弓矢の弓」のような形です。そして、かかとから足の指の付け根まで、ピンと張っているのが「足底筋膜」です。これは、弓における「弦(つる)」の役割をしています。 歩いたり走ったりして体重がかかると、弓(足の骨)はグッとたわみます。その時、弦(足底筋膜)は「これ以上伸びたら切れる!」というギリギリの状態で引っ張られながら、衝撃を吸収してくれています。
痛みは「ボロボロになったゴム」の悲鳴
健康な状態の足底筋膜は、新しくて弾力のあるゴムバンドのようなものです。多少引っ張られても、すぐに元の形に戻ります。 しかし、使いすぎや加齢、ふくらはぎの硬さなどが原因で、このゴムが古くなって硬くなるとどうなるでしょう? 無理に引っ張ると、表面にピキピキと小さな亀裂が入りますよね。 足底筋膜炎の痛みは、まさにこの「小さな断裂(ほころび)」の痛みです。 ただの炎症ではなく、組織が傷ついて、治りかけてはまた裂けるということを繰り返している状態なのです。
なぜ「朝の一歩目」が痛いのか?
これには明確な理由があります。 寝ている間、体は一生懸命壊れた組織を修復しようとします。切れたゴムを接着剤でくっつけるような作業です。寝ている時は足首が伸びてリラックスしているので、足底筋膜も縮こまった状態で少しだけ固まり、修復が進みます。 ところが、朝起きて最初の一歩を踏み出す時、体重がドカンとかかります。 すると、せっかく夜の間にくっつきかけていた組織が、縮こまった状態から無理やり引き伸ばされ、「ビリッ!」と再び剥がれてしまうのです。 これが、あの朝の激痛の正体です。かさぶたになりかけた傷口を、毎朝自分で剥がしてしまっているようなもの。これでは、なかなか治らないのも無理はありません。
【やってはいけない】良かれと思ってやりがちな「3つのやってはいけないこと」
足底筋膜炎をこじらせてしまう人には、共通点があります。それは、痛みをなんとかしようとして、逆効果な行動をとってしまうことです。ここでは、代表的な3つのやってはいけないことを紹介します。
やってはいけないことその1:痛い場所をグリグリと強くマッサージする
「痛いところを揉めば血行が良くなって治る」 これは大きな間違いです。特に、かかとの骨に近い、一番痛む部分を指やゴルフボールでグリグリ押すのは絶対にやめてください。 【理由】傷口を広げているのと同じだから 先ほど、足底筋膜炎は「組織の小さな断裂」だとお話ししました。切り傷や擦り傷ができている場所を、指でグリグリとこする人はいませんよね? そんなことをすれば、傷口は広がり、炎症はさらに悪化します。 痛い部分への強いマッサージは、「火に油を注ぐ」行為です。一時的に痛みが麻痺して楽になった気がしても、後で必ず痛みがぶり返します。
やってはいけないことその 2:フローリングを素足でペタペタ歩く
家の中だからといって、裸足で生活していませんか? 【理由】コンクリートの上を歩いているのと変わらないから 現代の住宅のフローリングは、非常に硬い素材でできています。クッション機能が壊れている(足底筋膜が傷んでいる)あなたの足にとって、硬い床からの衝撃はハンマーで叩かれるようなものです。 「家の中ではリラックスしたいから裸足」という気持ちはわかりますが、今は非常事態です。裸足でフローリングを歩く一歩一歩が、足へのダメージとして蓄積されていると知ってください。
やってはいけないことその3:とりあえず「柔らかいだけの靴」を選ぶ
「足が痛いから、クッションがふわふわの柔らかい靴を履こう」 これも、実は落とし穴です。 【理由】砂浜を歩くように疲れてしまうから 柔らかすぎる靴は、着地した瞬間に足がグラグラと不安定になります。想像してみてください。アスファルトの上と、ふわふわの砂浜の上、どちらが歩きやすいでしょうか? 砂浜は柔らかいですが、足が沈み込んで踏ん張りが効かず、すぐに疲れてしまいますよね。 不安定な足元では、体はバランスを取ろうとして無意識に筋肉を緊張させます。その結果、足底筋膜に余計な力が入り、負担が増えてしまうのです。必要なのは「柔らかさ」ではなく「適度な硬さと安定感」なのです。
【やるべきこと】今日から変わる!回復を早める「3つのやるべきこと」
やってはいけないことがわかったところで、次は「どうすれば早く治るのか」という具体的な解決策をお伝えします。どれも今日から、自宅でできることばかりです。
やるべきことその1:原因である「ふくらはぎ」を徹底的に緩める
痛いのは「足の裏」ですが、治療のターゲットは「ふくらはぎ」です。ここが一番重要なポイントです。 【なぜ?】綱引きの理論 足底筋膜は、かかとの骨を介してアキレス腱、そしてふくらはぎの筋肉とつながっています。これらは一つのチームとして動いています。 ふくらはぎの筋肉がカチカチに硬くなると、アキレス腱が上に引っ張り上げられます。すると、かかとの骨も引っ張られ、連動して足の裏の足底筋膜もピンと強く引っ張られてしまいます。 つまり、ふくらはぎが硬いことは、常に足の裏を強い力で引っ張り続けている状態なのです。
やるべきことその 2:炎症期と慢性期で「冷やす」と「温める」を使い分ける
「冷やした方がいいの? 温めた方がいいの?」という質問をよくいただきます。正解は「時期とタイミングによる」です。
(1)
ズキズキ痛む、熱を持っている時(炎症期・活動直後)
正解:冷やす(アイシング)
。 たくさん歩いた後や、痛みが激しい時は炎症が起きています。氷のうや保冷剤(タオルで巻いて)で10分ほど冷やし、炎症を抑えましょう。
(2)重だるい、朝こわばる、慢性的に痛い時(慢性期)
正解:温める。多くの足底筋膜炎の方は、こちらがメインになります。お風呂でしっかり温めたり、足湯をしたりして血流を良くしましょう。血流は、壊れた組織を治すための「材料」を運んでくれるトラックです。温めて道路を広げ、修復工事を促進させましょう。
やるべきことその 3:家の中でも「履き物」で足を守る
NG行動で「裸足はダメ」とお伝えしました。では、どうすればいいか。 家の中でも「足底筋膜炎対策用の室内履き」や、厚手のスリッパ、あるいはアーチサポート機能のある靴下を履いてください。 【なぜ?】足をギプスで守るイメージ 骨折したらギプスをしますよね。足底筋膜炎も組織が壊れている状態ですから、保護が必要です。 特に、土踏まず(アーチ)を下から支えてくれる構造のサンダルやインソールを使うと、足底筋膜が伸びきるのを防いでくれます。 「自分の筋肉で治さなきゃ」とストイックになる必要はありません。目が悪ければメガネをかけるように、足が痛い時は「道具(インソールや機能性ソックス)」という補助を使って、患部を休ませてあげてください。
まとめ:足底筋膜炎は「歩き方」を見直すチャンス
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
最後に、要点を整理しましょう。
マッサージはやめる
傷口をグリグリ攻撃しない。
裸足をやめる
家の中でも足を守る装備をする。
ふくらはぎを伸ばす
足の裏ではなく、原因となっている「ふくらはぎ」の柔軟性を取り戻す。
足底筋膜炎は、確かにしつこい痛みです。でも、これはあなたの体が発している「今の使い方のままじゃ限界だよ」「もう少し労わって」というサインでもあります。
この痛みをきっかけに、正しいケア方法や靴選び、歩き方を見直すことができれば、怪我をする前よりもずっと機能的で、疲れにくい「強い足」を手に入れることができます。
焦る必要はありません。人の体は、正しい環境さえ整えてあげれば、必ず治ろうとする力を持っています。
最後に・・・
明日の朝、ベッドから降りる前に、足首をぐるぐると回してから、そっと床に足を下ろしてみてください。
その小さな積み重ねが、必ず「痛くない朝」へと繋がっています。
一日も早く足底筋膜炎がよくなるといいですね。
よくある質問
また、今回のコラムをご覧頂きご来院頂いた患者様からよく頂く質問を下記に掲載させて頂きます。
足底筋膜炎と足底腱膜炎の違いは?
足底筋膜炎と足底腱膜炎は、呼び方の違いだけで医学的にも同じものだとされています。
| 住所 | 〒611-0042京都府宇治市小倉町蓮池173-13 宇治小倉あゆむ整骨院・あゆむ整体院フットラボ |
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