患者様に知っておいて欲しい知識

四十肩・五十肩の豆知識

◆最終更新日: 2026年03月31日 18:32:20
厚生労働大臣免許:柔道整復師

【 このページの監修者 】

このページは、厚生労働大臣免許の柔道整復師の宇治小倉あゆむ整骨院院長が、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、柔道整復理論などの知識を元に、当院の情報発信ポリシー(EBM:根拠に基づく医療)に則って作成しています。

四十肩・五十肩、肩こりは冷やしたほうがいい?温めたほうがいい?

四十肩・五十肩、冷やす?温める?

四十肩・五十肩は、肩関節周囲炎と呼ばれ、肩関節周辺の組織に炎症が起こり、炎症が起こった初期には強い痛みで眠れないといわれる方も少なくありません。特に40歳代から50歳代に多く見られるため、わかりやすく「四十肩・五十肩」と呼ばれています。 そこで、当院に来院された方から良く頂くご質問「四十肩・五十肩は、冷やした方がいい?温めた方がいい?」という疑問について説明をしていきたいと思います。 また、肩こりでご来院された患者様から、よく頂く「肩こり・首こりは、冷やした方がいい?温めた方がいい?」という内容に関しても併せてご説明させて頂きます。

冷やした方がいい?温めた方がいい?の結論
四十肩・五十肩 「温める」「冷やす」は時と場合による。
肩こり 温める

四十肩・五十肩で冷やすべき場合どんな時でしょうか?

①急に肩周辺が痛くなった場合
②肩や身体を動かさずに安静にしていても痛い場合
①②の場合、受傷後48〜72時間(2〜3日)程度は炎症を抑えるため冷やすことが有効であることが多くあります。冷やす際は、1回15~20分を目安に、タオルで包んだ氷や冷却パックを患部に当ててください。正しいアイシングの方法については「正しいアイシングの方法」で詳しく解説しています。

一方、四十肩・五十肩の場合、冷やすと症状が悪化する場合もありますので、もし症状が悪化した場合は、冷やすことは控えて下さい。

※安静にしていても痛みがひどい場合は、整形外科などの専門機関の受診をおすすめします。

温めるべき場合は?

①長く続く痛みの場合(慢性的な痛み)
※慢性痛の定義としては、「3ヶ月以上続く痛み」と定義されていますが、肩の痛みの場合は痛みが出て1週間程度経過後は、少しずつ温めながら積極的に肩を動かしていくことが大切です。

なお、温めることにより痛みが増す、症状が悪化する場合は、温めることは控えて下さい。

冷やす・温めることにより期待できる効果について

◆冷やす(アイシング)ことにより期待できる効果
冷やすことの最大の目的は、炎症や腫れを抑えて症状の悪化を止めることにあります。 作用機序は下記をご参考下さい。
(1)冷やすことにより血管が収縮し、皮膚や組織内の血管が収縮。これにより、患部への血流が減少し、腫れや炎症が抑えられます。
(2)細胞の代謝活動を低下させ、組織の損傷が最小限に抑えられるとともに、痛みを和らげる効果もあります。
(3)冷やすことにより痛みを伝える神経繊維の活動を鈍らせ、これにより痛みの感覚を減少させます。

上記作用機序からもわかるように、冷やす(アイシング)により、痛みや腫れ、炎症を抑制する効果がある反面、細胞の代謝活動が低下するため、痛めた細胞の治癒は遅れてしまうというデメリットもあります。
なお、近年のスポーツ医学では、炎症反応そのものは身体の自然な治癒プロセスの一部であり、過度な冷却がかえって回復を遅らせる可能性があるという見解もあります。冷やすべきか温めるべきかの総合的な判断基準については「身体に痛みがある時、冷やす?温める?」で詳しく解説しています。

◆温めることにより期待できる効果 温めることの最大の目的は、血流を改善することにより細胞の修復・再生の促進、筋肉の緊張緩和にあります。
作用機序は下記をご参考下さい。

(1)皮膚や組織内の血管が拡張。これにより血流が増加し、酸素や栄養素の供給が促進されるとともに、細胞からの老廃物も効率的に排出されるようになります。
(2)血流により細胞の代謝が活性化し、組織の修復や再生が促進されます。
(3)温めることにより筋肉の温度が上昇するとともに筋肉が柔らかくなります。筋肉が柔らかくなることにより、圧迫された神経の絞扼が改善され痛みが軽減されます。

上記の作用機序からもわかるように早く治癒させるためには、患部を温めて血流を改善、組織の修復を促すことが非常に重要となります。

四十肩・五十肩の治療法

四十肩・五十肩はその痛みや進行状況により3つの期に分類され、それぞれの病期に適した施術を行います。
(1)急性期:肩周辺が痛くなった直後で、ズキズキと鋭い痛みがあり、ひどい場合は夜間痛で眠れない場合もある。 →この期間は、なるべく安静に保ち、炎症が抑制されることを優先にします。
(2)拘縮期:ズキズキとした痛みは落ち着き、肩が動かしにくくなる。特に「結滞動作」と言われる動作で痛みを感じる人が多い。 →拘縮期 は、温熱療法・運動療法を中心に可能な範囲で肩関節を動かしていきます。
(3)回復期:少しずつ今まで感じていた痛みが落ち着いてきて、肩が動かしやすくなってきます。 →回復期は、温熱療法と積極的な運動療法により、肩関節の可動域改善と筋力強化を行います。

結滞動作について

結滞動作について

結滞動作とはイラストのような動作で、エプロンや下着をつける際、腕を背中に回すような動作となります。

結論

四十肩・五十肩の治療においては、炎症が強い急性期や急激な痛みがある場合には冷やすことが有効であり、拘縮期や回復期では温めることが推奨されます。日常生活でも適切な対策を講じることで、四十肩・五十肩の症状を軽減し、回復を早めることができます。肩の痛みが続く場合や、症状が重い場合は早めに専門機関を受診し、専門的な治療を受けることをおすすめします。

肩こり、四十肩・五十肩の予防のため、下記動画を参考にエクササイズをすることをおすすめします。

よく頂く質問

四十肩・五十肩の急性期はどれくらい冷やせばいいですか?

1回15~20分を目安に、タオルで包んだ氷や冷却パックを患部に当ててください。冷却後は1~2時間の間隔をあけてから再度行います。受傷後48〜72時間以内が冷却の効果が特に期待できる時期です。正しい冷やし方の詳細は「正しいアイシングの方法」をご覧ください。

肩こりは冷やしてはいけないのですか?

肩こりは主に筋肉の緊張や血行不良が原因のため、基本的には温めて血流を改善することが効果的です。ただし、スポーツや作業後に肩周辺に熱感がある場合は、一時的に冷やすことで炎症を抑えることも有効です。熱感が引いたら温める対応に切り替えてください。

四十肩・五十肩で温める場合、どのような方法がおすすめですか?

お風呂にゆっくり浸かる、ホットパックやホットタオルを患部に当てるなどの方法があります。入浴は38〜40℃程度のぬるめのお湯に15〜20分ほど浸かると、肩全体を効果的に温めることができます。ただし、温めることで痛みが増す場合は炎症が残っている可能性がありますので、冷やす対応に切り替えてください。

四十肩・五十肩の拘縮期に肩を無理に動かしても大丈夫ですか?

無理に動かすと症状が悪化する恐れがあります。拘縮期は痛みの範囲内で少しずつ肩を動かすことが大切です。痛みを我慢して無理に動かすのではなく、温めた後に痛くない範囲でゆっくりとストレッチを行うようにしてください。自己判断が難しい場合は、専門家の指導のもとで行うことをおすすめします。

四十肩・五十肩はどれくらいで治りますか?

個人差が大きいですが、一般的に半年〜1年半程度かかることが多く、長い場合は2年以上かかるケースもあります。適切な時期に適切なケア(急性期は冷却・安静、拘縮期以降は温熱・運動療法)を行うことで、回復を早めることが期待できます。症状が長引く場合は早めに専門機関を受診してください。

参考文献・エビデンス

当コラムで紹介した四十肩・五十肩の冷却・温熱療法に関する情報は、以下の医学的根拠およびガイドラインに基づいています。当院が参照する情報源の詳細は「情報の根拠・参照元について」をご確認ください。

【1】肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の概要と治療

公益社団法人 日本整形外科学会 「症状・病気をしらべる:肩関節周囲炎(五十肩)」
肩関節周囲炎の定義、症状の3段階(急性期・拘縮期・回復期)、および各段階に応じた治療方針について解説されています。
日本整形外科学会 公式サイトを確認する →

【2】温熱療法による血流改善と疼痛緩和

Nadler SF, et al. "Continuous low-level heat wrap therapy provides more efficacy than Ibuprofen and Acetaminophen for acute low back pain." Spine. 2002;27(10):1012-1017.
温熱刺激が血流を促進し、筋肉の緊張を緩和することで、慢性的な痛みや回復期の組織修復に寄与する有効性を示した研究です。
PubMed で論文を確認する →

【3】柔道整復師の学術的背景

「柔道整復学・理論編(改訂第6版)」:公益社団法人全国柔道整復学校協会 監修
柔道整復師の国家試験カリキュラムにおける肩関節疾患の評価、「冷罨法(れいあんぽう)」および「温罨法(おんあんぽう)」の適応基準に基づいています。

※当院では、最新の臨床知見に基づき、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適なアドバイスを行っております。当院の情報発信における方針・免責事項については「当院の情報発信ポリシーと専門的根拠について」をご覧ください。

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